コクリバ 【完】
兄たちと一緒の食事の帰り……
「ともちゃん、コンビニ寄ってかない?」
背後から、菊池義人の声がした。
3人同時に振り返ると、菊池義人が一人で立っている。
兄たちは先を歩いていて、このことに気付いていない。
ただコンビニに誘われた、なんて思うはずはない。
「でも……」
ともちゃんが私たちを見る。
もちろん私たちが誘われてはいない、というのは分かる。
ついにともちゃんが誘われたんだ。
「すぐ近くだからいいじゃん。行こう。みんなの分のアイス奢るよ」
なんか必死な菊池義人に笑いそうになった。
「アイス奢ってくれるって…」
ともちゃんが私たちに言う。
「うん。いる」
「私、ハーゲンダッツのラムレーズン」
ニヤニヤしてしまう私と絢香。
そんな私たちの視線から、恥ずかしそうに顔を背けて、
「じゃぁ……コンビニに行くだけ……」
小さな声でそう言って、ともちゃんは進行方向を変えた。
誰かが誘われるんじゃないかって思ってたけど、本当に誘われたらドキドキしてしまう。
悪いことしているような、
誰かにこの秘密がばれてしまうんじゃないか、みたいな……
「おまえらさっさと来いよ。何回遅れてんだよ!」
ビクリと肩が上がる。
怒った兄の声が、後ろから近付いてくる。
悪いことしてた訳じゃないのに、後ろめたくなる。
「あれ?あと一人は?」
「菊池義人とコンビニに行った」
「はぁ~?義人か?ふざけやがって……」
私たちの後方を睨む兄。
「やっぱり連れてくるんじゃなかったな。
いいか!おまえらは部屋に戻ったら、絶対部屋から出るな!いいな!」
すごい剣幕で外出禁止令が出た。
兄と一緒に戻ってくれた中山さんは、
「いいんじゃねーの?もう子供じゃないんだし」
なんて言っている。
「おい!」
「菊池だって分かってるさ。あいつはそんなやつじゃないだろ」
「……」
さすが中山さん。分かっていらっしゃる。
「だから、奈々ちゃんも俺と消えちゃう?」
「だから嫌だったんだよ。おまえが一番危ないんだよ」
兄が中山さんを引っ張って歩き出したから、黙ってその後に続いた。
ホッとした。
もっと怒られるかと思った。
時々後ろを振り返るけど、ともちゃんが見えるはずはなかった。
少し羨ましく思う。
「ともちゃん、コンビニ寄ってかない?」
背後から、菊池義人の声がした。
3人同時に振り返ると、菊池義人が一人で立っている。
兄たちは先を歩いていて、このことに気付いていない。
ただコンビニに誘われた、なんて思うはずはない。
「でも……」
ともちゃんが私たちを見る。
もちろん私たちが誘われてはいない、というのは分かる。
ついにともちゃんが誘われたんだ。
「すぐ近くだからいいじゃん。行こう。みんなの分のアイス奢るよ」
なんか必死な菊池義人に笑いそうになった。
「アイス奢ってくれるって…」
ともちゃんが私たちに言う。
「うん。いる」
「私、ハーゲンダッツのラムレーズン」
ニヤニヤしてしまう私と絢香。
そんな私たちの視線から、恥ずかしそうに顔を背けて、
「じゃぁ……コンビニに行くだけ……」
小さな声でそう言って、ともちゃんは進行方向を変えた。
誰かが誘われるんじゃないかって思ってたけど、本当に誘われたらドキドキしてしまう。
悪いことしているような、
誰かにこの秘密がばれてしまうんじゃないか、みたいな……
「おまえらさっさと来いよ。何回遅れてんだよ!」
ビクリと肩が上がる。
怒った兄の声が、後ろから近付いてくる。
悪いことしてた訳じゃないのに、後ろめたくなる。
「あれ?あと一人は?」
「菊池義人とコンビニに行った」
「はぁ~?義人か?ふざけやがって……」
私たちの後方を睨む兄。
「やっぱり連れてくるんじゃなかったな。
いいか!おまえらは部屋に戻ったら、絶対部屋から出るな!いいな!」
すごい剣幕で外出禁止令が出た。
兄と一緒に戻ってくれた中山さんは、
「いいんじゃねーの?もう子供じゃないんだし」
なんて言っている。
「おい!」
「菊池だって分かってるさ。あいつはそんなやつじゃないだろ」
「……」
さすが中山さん。分かっていらっしゃる。
「だから、奈々ちゃんも俺と消えちゃう?」
「だから嫌だったんだよ。おまえが一番危ないんだよ」
兄が中山さんを引っ張って歩き出したから、黙ってその後に続いた。
ホッとした。
もっと怒られるかと思った。
時々後ろを振り返るけど、ともちゃんが見えるはずはなかった。
少し羨ましく思う。