コクリバ 【完】
先輩が部屋の中央まで来て、椅子にドカッと座った。
でもその表情は険しくて、私を見てはくれない。

「座れよ」

立ったまま先輩が話し始めるのを待っていた私に、不機嫌そうな口調で命令する先輩。

イヤな予感しかしない。

既に泣きそうになったけど、ベッドに浅く腰かけた。
先輩はずっとペットボトルを触っていて話始める様子はない。

この沈黙に耐えられない。

「あの……先輩とのこと、友達に話しました。すみません」
「友達って、今の?」
「はい。あともう一人、一緒に来てた子に……」
「別にそんなことはどうでもいい。仲のいい奴らなんだろう?」

その言い方が既に怒っている。

「……はい」

何がいけなかったんだろう。

「そうじゃなくて……なんで、ここにいるんだよ」

ハッとして先輩を見た。

私がここに来ちゃいけなかったんだ。
私が彼女だって他の人に知られたくないし、恥ずかしいって思ってるんじゃ……

足が震える。

「なんで、あの人たちと一緒に来てるんだよ」
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