コクリバ 【完】
「すみません」

速攻、謝った。

「おまえさ、大学生に誘われたからって、ホイホイついて来てんなよ」
「…すみません」

本当は自分からお願いしたなんて、口が裂けても言えない。

「緒方さんがいるからって、安心しきってるんじゃねぇよ」
「……すみません……」

先輩はまだペットボトルを見ている。

「たぶん、中山さんはマジだぞ」
「……え?何が…ですか?」
「中山先輩だよ。おまえ狙いだろ?」

一瞬、言われてる意味が分からなかった。
私ネライ?

「……それは、ないですよ。それは絶対ないです」
「信じらんねぇ。マジで言ってんの、それ」
「中山さんが私をって話ですよね?それは、はい。絶対ありえません」

正直な気持ちを言うと、
「はぁ~」
大きなため息をつかれた。

「あの…私が来たこと怒ってます?」

中山さんの話なんてどうでもいい。
心配なのは先輩が私を彼女って思ってくれてるかどうかで……

「あぁ。インターハイがかかってる大事な試合に、余計なことで振り回されたくねぇよ」
「すみません!」

やってしまった。
私なんてやっぱり来ちゃいけなかったんだ。

「来るんなら、一人で来い」

聞き逃しそうなほど小さな声で高木先輩が話しを続ける。

「……え?」
「それか、友達だけで……」
「……」
「大学生の男たちとは来るなよ」

先輩がまっすぐ私を見ていた。
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