コクリバ 【完】
「あの人、女子バスケのキャプテンだった人だよね?」
私の隣りでその様子を見てた、同じクラスの友達が言い出した。
私は平静を装って聞いた、
「知ってる人?」
「うん。橘あおい先輩だよ。3年生の。
高木先輩の彼女なのかなー?」
最後の言葉は、私の心臓を完全に固まらせた。
カノジョ……
もう一度左側を見ると、すらりと伸びた手足に、茶髪のショートカット。
見るからにスポーツできそうなその姿に焦りを覚えた。
高木先輩は、この人に手を振ったの?
橘あおいという人が動くたびに、私の中に黒い物が広がっていく気がする。
「奈々」
絢香が肘を引っ張る。
「奈々。ガン見しすぎだよ」
言われるまで気付かなかった。
私が左側ばかり見ている間に、とっくに高木先輩たちはいなくなっていた。
絢香は私の異変に気付いたようで、
「大丈夫だって、さっきのは奈々にだよ」
そう小さな声で言ってくれた。
私は親友を見て頷いた。
絢香の存在が有難い。
ただ、この後も私に芽生えた黒いものはずっと消えることは無かった。
私の隣りでその様子を見てた、同じクラスの友達が言い出した。
私は平静を装って聞いた、
「知ってる人?」
「うん。橘あおい先輩だよ。3年生の。
高木先輩の彼女なのかなー?」
最後の言葉は、私の心臓を完全に固まらせた。
カノジョ……
もう一度左側を見ると、すらりと伸びた手足に、茶髪のショートカット。
見るからにスポーツできそうなその姿に焦りを覚えた。
高木先輩は、この人に手を振ったの?
橘あおいという人が動くたびに、私の中に黒い物が広がっていく気がする。
「奈々」
絢香が肘を引っ張る。
「奈々。ガン見しすぎだよ」
言われるまで気付かなかった。
私が左側ばかり見ている間に、とっくに高木先輩たちはいなくなっていた。
絢香は私の異変に気付いたようで、
「大丈夫だって、さっきのは奈々にだよ」
そう小さな声で言ってくれた。
私は親友を見て頷いた。
絢香の存在が有難い。
ただ、この後も私に芽生えた黒いものはずっと消えることは無かった。