コクリバ 【完】
夏休み
夏休みに入る直前、市原先輩のモデルをしたあと、高木先輩と一緒に帰る機会があった。
クラスマッチの最後に、誰に手を振ったのか聞きたくて。
でももし、私の存在には気付いていなかった。なんて言われたら、本気で落ち込みそう。
「今日は大人しいな」
見上げると、高木先輩が優しく微笑んでいて、木の葉の間からの木漏れ日がキラキラと先輩を照らしている。
つられて私も笑顔になった。
そうなると、もうクラスマッチのことなんて、どうでもいいって思えてきた。
今、こうやって一緒にいるのは私なんだから……
「おまえ、夏休みどうすんの?」
「夏休みは、部活の合宿があるだけで、あとはまだなにも…」
「合宿?それ泊り?」
「いえ。いつもは泊りらしいんですけど、今年は部長が不参加らしくて……」
「市原な。あいつ団体行動苦手なんだよ」
「はい。それで日帰りに変わったそうです。
みんなで水族館に行って、絵を描いてくるらしいんです。
小学生みたいですよね?」
あははと笑ったけど、先輩は笑っていない。
「ふーん」と言っただけで、違う方を見ている。
チクリ
胸が痛んだ。
私はまだ先輩のちょっとした行動にも一喜一憂してしまう。
クラスマッチの最後に、誰に手を振ったのか聞きたくて。
でももし、私の存在には気付いていなかった。なんて言われたら、本気で落ち込みそう。
「今日は大人しいな」
見上げると、高木先輩が優しく微笑んでいて、木の葉の間からの木漏れ日がキラキラと先輩を照らしている。
つられて私も笑顔になった。
そうなると、もうクラスマッチのことなんて、どうでもいいって思えてきた。
今、こうやって一緒にいるのは私なんだから……
「おまえ、夏休みどうすんの?」
「夏休みは、部活の合宿があるだけで、あとはまだなにも…」
「合宿?それ泊り?」
「いえ。いつもは泊りらしいんですけど、今年は部長が不参加らしくて……」
「市原な。あいつ団体行動苦手なんだよ」
「はい。それで日帰りに変わったそうです。
みんなで水族館に行って、絵を描いてくるらしいんです。
小学生みたいですよね?」
あははと笑ったけど、先輩は笑っていない。
「ふーん」と言っただけで、違う方を見ている。
チクリ
胸が痛んだ。
私はまだ先輩のちょっとした行動にも一喜一憂してしまう。