好きな人の弟を、利用した
後ろから、「え?あの子『杉崎弟』と付き合ってるの?」と言うボソボソ声が聞こえた。

チラッとその人の顔を見ると、よりにもよって知られたら一番厄介な、社内で有名な噂好きのお局様。


……バレてしまった。


こりゃ、早くて今日中。

遅くても明日には社内に広まってしまうだろう。

私は、ガクッ……と肩を落とす。

「夏夜ちゃん……?」

昴が、心配そうに私の顔を覗き込む。

「……ちょっとこっち来て」

私達は、通行の妨げにならない角に場所を移した。
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