好きな人の弟を、利用した
来た道を戻ろうとした瞬間、後ろからドアが開いた音がして、咄嗟に振り返ってしまった。

そこには、『open』の看板を『close』に変えているハナちゃんさんの姿。

早く立ち去れば良いのに、何を思ったのか私はそれを、ボーッと立ち止まり見ていた。


「……あら?夏夜ちゃんじゃない?」


呼び掛けられたハナちゃんさんの声に、ハッと我に返る。

しまった!

何を呆けて見ていたのか!?

「やっぱり!どうしたのそんな所で!」

ハナちゃんさんが満面の笑みを浮かべ、ピョンピョン跳び跳ねながらこちらへ向かって来た。
< 151 / 334 >

この作品をシェア

pagetop