好きな人の弟を、利用した
「えっ…と……こんばんは……」

私は頭を下げる。

しかない。

「もしかして、お店に来てくれたの!?」

「あ、いえ、その……」

目をキラキラさせながら私を見ているハナちゃんさんに「違うので帰ります」とは言えなくて、私は顔を少し引きつらせながら「はい……」と答えた。

「そっか!入って入って♡」

腕をグイグイ引っ張られる。

「え、あの、でも……」

もう閉店なんじゃ……と言う目配せをすると、

「いーのいーの!気にしないで!ほらほら、入って♡」

「わわっ!」

無理矢理お店の中へと押し込められ、カウンター席へ座らせられた。
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