好きな人の弟を、利用した
パタパタと、ハナちゃんさんがカウンターの中へ入り、向かい合わせに立つ。

「ご注文は?」

「えっ、と……じゃあ、珈琲を……」

「あら。珈琲で良いの?」

「はい。あの、さっきまで友達と飲んでて……」

「そーなのね。じゃあ、ハナちゃん特選のブレンド珈琲淹れたげるから待ってて♡」

「はい。お願いします」

了解♡とウインクをして、ハナちゃんさんがガリガリと珈琲豆を手動のミルで挽き始めた。

「機械じゃなく、手動なんですね」

「そうなの♡別に機械でも良いんだけど、アタシが一つ一つ挽いてあげたくてね♡」

「へぇ~。凄いですね」

「うふふ♡ありがと♡」

少し照れながら笑ったハナちゃんさんを、可愛いな、なんて思いながら見ていた。
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