好きな人の弟を、利用した
心地好い音量で流れるjazz。

私は目を瞑って、その音楽に身を委ねる。

なんだか、とても落ち着く。

「それはそうと、どうしてお店の前で一人突っ立っていたの?」

「……へぇ?」

突然話を振られて、変な声が出た。

「あ、それは、その……」

「うん?」

そうだった。

心地好すぎて、当初の目的を忘れる所だった。

でも、もうそんな気分じゃなくなってたし、帰ろうとしてた所だったし、どうしたら良いだろう。
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