好きな人の弟を、利用した
あ、ダメだ━━。

そう思った瞬間、私の目からボロボロと涙が零れた。

自分でも信じられない位、それはそれは滝の様に。

「えっ!?ちょっ、なにっ!?どうしたの!?」

微笑んでいたハナちゃんさんが、軽くパニックに陥る。

その間もボタボタと涙が零れ落ち、テーブルに小さい水溜まりが出来て行く。

「どこか具合でも悪いの!?」

「ちが……違うんです……ごめんなさい……」

「違うって、何が!?ああ、メイクが取れて来ちゃってるじゃない!目も真っ赤だし!これ使って!」

アワアワと、温かいおしぼりを手渡してくれる。

私はそれを受け取り、涙を拭いて目元を押さえた。
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