好きな人の弟を、利用した
「いえ、前にもこれと同じ事があったなぁ、って、可笑しくなっちゃって」

「そうなの?」

「はい。初めてハナちゃんさんのお店にお邪魔したあの時も、帰りのバスが来ていて、そしたら佑くんが急に私の手を掴んで走り出したんです」

「へぇ」

「お腹いっぱいだったから走るのしんどくて、次で良いよって言ったんですけど、走れば間に合うって。意外と強引でした」

やっぱり可笑しくて、また笑った。

「そうなんだ」

前の乗客がバスに乗ったので、私もそれに続いてバスへ乗り込む。

と、

「なんだか安心した」
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