好きな人の弟を、利用した

そう聞こえて振り向くと、ハナちゃんさんがニコニコしながら手を振っていた。

｢ハナ……｣

｢閉めますよー？｣

車掌さんが外にいるハナちゃんさんに声をかけた為に、私の声が掻き消される。

｢あ、行って下さい｣

ハナちゃんさんがそう告げると、プシューっと言う音と共に、ドアが閉じた。

微笑みながら手を振るハナちゃんさん。

そこで、送ってくたお礼を言っていない事に気が付き、急いで頭を下げた。

ゆっくりとバスが走り出す。

それでもまだ手を振ってくれていたので、私も思いっきり手を振り返した。

段々、ハナちゃんさんが小さくなって行く。

バスが角を曲がった所で、私はイスに座った。