好きな人の弟を、利用した
「……残業…ですか……?」

『杉崎弟』が、私の後ろを覗き込みながら言う。

「うっ……そ、そーだけど……」

カッコ悪い所を見られて、なんか恥ずかしくて、顔を背けて座り直した。

「……どこを…間違ったん……ですか?」

『杉崎弟』が、入力途中のディスプレイと書類を見比べる。

「……あ…数字の……入力ミス…ですか」

「っ……!?」

耳元で喋られて、身体が硬直した。

(わ~~っ!昴の声で喋るなーーっ!)

ギュッと目を瞑る。

心臓が爆発しそうな程、ドキドキ言ってる。
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