好きな人の弟を、利用した

ピクニックです

━━ピクニック当日。

休日の駅の喧騒の中に、私は一人、佇んでいた。

待ち合わせは、この前のデートの時と同じ時間、同じ場所。

休日だから、やっぱり駅は混んでいる。

今日は天気も良いし暖かいし紅葉はキレイに色付いているし、行楽日和だから仕方ない。


辺りをキョロキョロ見回すけど、佑くんが来る気配はまだしない。

なんとなしに、行き交う人達をボーッと眺める。


嬉しそうに親の後を付いて行く子供達。

手を繋いで笑い合いながら歩いている恋人同士。

孫に手を引っ張られ、困りながらも微笑んでいるおばあちゃん。


「みんな楽しそうだなぁ……」

それに引き換え、私のテンションと来たら……。

多分、こんな気分でここにいるのは私くらいだろう。
< 183 / 334 >

この作品をシェア

pagetop