好きな人の弟を、利用した
時計を見ると、待ち合わせの時間まで10分ぐらい時間がある。

まだ佑くんの姿は見えない。

壁に寄りかかり、少し目を瞑る。

雑踏の音が、妙に心地好い。



数分、そうしていただろうか。

その雑踏に混じり、一際目立つ足音。

その足音が、私の前で止まる。

目を開けると、汗だくになりながら息を切らせている佑くんの姿。
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