好きな人の弟を、利用した
「じ、じゃあ…行こっか!」

「はい……」

歩き出そうとした私に、佑くんがスッと手を差し伸べる。

「……え?」

手!?

繋ぐって事!?


少しドキドキしながら、スッと手を伸ばす。

すると、

「……荷物……持ちます……」

と、左手に持っていた荷物を指差され、盛大に勘違いをした事に気付いて、顔が熱くなった。

「あ、ああ!荷物ね!ありがとありがと!」

あたふたと、お弁当が入っているトートバッグを佑くんに手渡す。

は、恥ずかしい。

「……行き、ましょうか……」

「う、うん」

雑踏の中を、並んで歩く。
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