好きな人の弟を、利用した
「……あーっ!疲れた~!」

「はい……」

タイミング良く空いたベンチに腰かけて、ペットボトルに半分くらい残っていたお茶を一気に飲み干した。

「バラの数も凄いけど、園内の広さ!」

「……そう、ですね……」

端から端までぐるりと一周したら、普段はデスクワークばかりの足腰には結構キツいものがあった。

「はー。バラは良い香りだし、久々に歩いたら気持ち良いね」

両手を上げて、背筋を伸ばす。


ぐぅぅぅ~。

「あ……」

ガバッ!と、お腹を押さえた。

は、恥ずかしいっ!

よりにもよって、お腹が鳴ったよ!


聞かれたかな……と、チラッと佑くんを見ると、声は出ていないけど肩を震わせて笑っていた。
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