好きな人の弟を、利用した
「ウソっ!冗談だよ!」

そう言うと、佑くんの顔がパァッと明るくなる。

それを見て、また吹き出しそうになったけど、堪えた。

「全く。どんだけお弁当楽しみにしてたのよ。ほら、食べよ食べよ!」

バッグからお弁当を取り出し、ベンチの上に広げる。

「わっ……」

佑くんの目が、キラキラと光輝いている。

……と、思いたい。

「はい」

おしぼりと、割り箸を差し出した。

「あ…ありがとう……ございます……」

おしぼりで手を拭いて、ちゃんと両手を合わせて「いただき、ます……」と呟き、少し悩んで卵焼きを食べた。

次いで、唐揚げ・マカロニサラダ、と食べ進める。

黙々と食べてはいるけど、前髪で隠れているから表情がイマイチ分かり辛い。
< 196 / 334 >

この作品をシェア

pagetop