好きな人の弟を、利用した

『杉崎弟』は、書類を見易い位置にセットして、腕捲りをする。

「……20分…僕に時間……下さい……」

そう言って、次の瞬間、目にも止まらぬ速さでキーボードを打ち始めた。

「……え?」

私の目が点になる。

見る見る内に、文字が画面に入力されて行く。

(な、何っ!?)

しかも、寸分たがわず、正確に。

私はそれを、口をあんぐりと開けて見ていた。
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