好きな人の弟を、利用した
それもそうだろう。


『猫と笑顔とミルクティー ~あの雨の日に~』


通称『猫ミル』。

今、女子の間で話題の恋愛映画だ。

「男子が恋愛映画って、退屈じゃないの?」

元カレなんかは、始まった瞬間から寝てたけど。

「はい……大丈夫、です……」

「へ~。意外だね。うん。じゃあ、観に行こっか!私も丁度観たいなって思ってたし」

片付けを終え、荷物を持って立ち上がろうとしたら、私よりも一瞬早く動いた佑くんに荷物を取られ、手を差し出された。

「どうぞ……」

素早い動きと、お姫様みたいに手を差し伸べられ、ちょっと戸惑う。

「あり、がとう……」

佑くんの手を取り、立ち上がる。

そのまま手を握られ、歩き始めた。

(佑くんって、手を繋ぐのが好きなのかな……)

別に嫌な気もしないので、そのまま手を繋いだまま、バラ園を後にした。
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