好きな人の弟を、利用した
━━と。

思っていた感触と違う、フワッと何かに包まれる感覚がして、目を開けた。

「……え?」

瞬時に理解出来なくて、何度か瞬きをする。

私は布団を掛けられ、すっぽりと佑くんに抱き締められていた。

特に何かをする訳でもない。

「た、佑くん……?」

「あの……もう…遅い時間、ですし……寒いし……寝ましょう……」

「…………」

ギュッと佑くんの腕に力が入る。

大きな掌で、頭をポンポンと撫でられた。



……とてもあたたかい。

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