好きな人の弟を、利用した
どうやら昨夜、泣き疲れて眠ってしまったらしい。

佑くんは、ずっとあのまま私を抱き締めてくれていたのだろうか。

今も私は、佑くんの腕にくるまれた状態になっている。

あたたかいを通り越して、少し暑い位だった。


今は何時だろう。


サイドボードに目をやると、丁度6時半ピッタリを指していた。

まだ朝も早いし今日も休みだから急ぐ必要はないんだけど、佑くんが起きる前に、このぐちゃぐちゃになっている顔をなんとかしたかった。

(こ、この腕をっ……)

しかし、思いの外ガッチリ掴まれていて、抜け出せない。


これは、この悲惨な事になっているであろう顔を、佑くんに晒せと言うのか。
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