好きな人の弟を、利用した
思い出したらなんだかおかしくて笑ったら、佑くんが振り向いて首を傾げた。

「どう……しました……?」

「いや、前にもこんな事があって、佑くんが助けてくれなぁ、と思って。初デートの時。覚えてる?」

「……はい……」

佑くんは、少し空を仰いで頷いた。

「私、いい年してよく色んな物に躓いて、『足元をよく見なさい!』って母親に怒られるんだけど、自分じゃどうにも出来なくて。でも、これから先は転びそうになったら、佑くんがいるんだね」

「……え……?」

「青アザ作ったりして、いつも生傷絶えないんだけど、佑くんがいるなら安心して……って、佑くん?どうしたの?」

急に佑くんが立ち止まる。
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