好きな人の弟を、利用した

えっ、聞いてないよ

「おはようございます……」

挨拶をしながら更衣室へ入る。

何人かの「おはよー」に頭を下げ、自分のロッカーを開けて荷物を入れた。


あれから一週間。


クリスマスも目前と言うのに、相変わらず佑くんと連絡が取れないでいた。

恋心を自覚してから、誘って断られたらどうしよう、とか変に臆病になってしまった。

佑くんからも連絡がないから、尚更どうして良いか分からない。

「はぁ……」

ため息を吐いて、ロッカーに付いている小さな鏡に目をやった。


……酷い顔をしている。
< 244 / 334 >

この作品をシェア

pagetop