好きな人の弟を、利用した
「えー、静かに。知ってる人も多いだろうが、杉崎君、自己紹介を」
「はい」
その人は、部長が譲った場所に立ち、一つお辞儀をして口を開いた。
「皆さん、おはようございます。今日から皆さんの元でお世話になります、杉崎 佑です。不馴れで至らない点もあると思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします」
深くお辞儀をして、頭を上げる。
パチパチと、まばらに拍手が鳴った。
その中には、女子達の黄色い声も若干混じっていた。
「では、今月の売り上げだが……」
私は今起こっている出来事を理解出来なくて、呆然と立ち尽くす。
その後の部長の話は、全く耳に入って来なかった。