好きな人の弟を、利用した
ガバッ!と、勢いよく立ち上がる。

その音に一瞬、周りが静まり返る。

……けど、そんな事はどーでもいい。


「……杉崎くん。ちょーっと来てくれない?」

引きつった笑顔を佑くんに向けた。

「え、でも……」

「いいから」

佑くんの返事なんて聞かないで、私はスタスタとオフィスを出た。

後ろで、「ちょっとすみません……」と言う佑くんの声と、「え~、行っちゃうの~?」と言うクネクネした女子の声が聞こえた。

それにも、イライラが募る。


私は怒っている事を隠す素振りもしないで、いつぞやのカフェテリアに向かった。

慌てて追い掛けて来る佑くんを、観葉植物で死角になる、あの場所に引っ張り込んだ。
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