好きな人の弟を、利用した
「これ、終わるか……?」
パラパラと書類を数える。
とてもじゃないけど、終わらせる自信なんてなかった。
「こんな盛大に失敗したの、佑くんの告白をOKした時以来だな……」
あの時は佑くんが助けてくれて、その早業に感動して、確かに部署移動して来たらって言ったけど……。
「まさか、本当にして来るとは……」
佑くんのデスクをチラッと見る。
綺麗に整理整頓されている机の上は、佑くんの性格がよく出ていた。
「仕事以外で、しばらく話してないな……」
肩を落とし、落ち込む。
…………。
…………………。
……………………………。
「ダメだっ!こんな事やってたらいつまで経っても終わらないっ!」
顔を上げ、パシンッ!と両頬を手で挟む。
「よしっ!」
気合いを入れ直して、PCに向かった。