好きな人の弟を、利用した


ザワザワザワ━━。



「…………………」

「…………………」

何をするでもない、ただ無言で、隣に座る。



どうしよう……。


今、話をした方が良いのかな。

でも、こんな人がごった返している居酒屋でする様な話だろうか?

社内のみんながいて、誰が聞いているかも分からない、こんな状況で。


……………………………。


ええいっ!

悩んでいても仕方ない!

全部とまでは行かないけど、近藤 和架子と一緒にハナちゃんさんのお店から出て来たあの夜の事、私の勘違いだった事を謝ろう!

メールの返事も返せなかった事も。


「たす━━」

「あっれー!?みなさんお揃いで何やってるんですかー!?」


ピクッ━━。


背後から響いたその声を聞いた瞬間、私の動きが止まる。

ゆっくり振り向くと、そこには近藤 和架子が立っていた。
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