好きな人の弟を、利用した
「やったー!おっじゃましまーす!」

「近藤さん!こっち来なよっ!」

男子達から手招きをされ、勿体振る様に「どうしよっかな~」なんて言っている。

頼むから、こっちに来ないでくれ。

「んー……。あっ!佑くんもいるんじゃん!じゃ、あたしこーこっ!」

私の願いむなしく、近藤 和架子は他の者には目もくれず、私とは反対側の佑くんの横に、ドカッ!と腰を下ろした。

「えー!近藤さん、こっち来なよー」

男子達から、ブーイングが飛び交う。

しかし近藤 和架子は首を振って、

「あたしはここに座るって決めました!ね!佑くん♡」

と、佑くんの腕にしがみついた。


その瞬間、私と近藤 和架子の間に、ピリ付いた空気が漂う。

みんなもそれを察知したのか、『触らぬ神に祟りなし』で、視線を反らし始めた。
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