好きな人の弟を、利用した
「佑くんは何を飲んでるの?」

佑くんの腕にしがみつきながら、水の入ったグラスを指差す。

「お水よ」

私は佑くんが答える前に、答えてやった。

しかし近藤 和架子はそんな事で怯む様子もなく、唇を尖らせる。

「あたし、佑くんに聞いてるんですけど?ね、何飲んでるの?」

「あ、お水です……」

少し困惑気味に、佑くんが答えた。

「えー?お水なんて飲んでないで、お酒もっと飲みましょうよー。お酒、強いハズでしょー?あの夜、言ってたじゃーん!」

近藤 和架子は腕にしがみつくだけでは飽きたらず、今度はグリグリと自分の胸を押し付けていた。

「いや、あの……」

佑くんが、私をチラチラ見ている。

「近藤さん。いい歳した大人が公衆の面前でそんな事して、恥ずかしくないの?」

私も流石に頭に来て、近藤 和架子を睨み付けた。

「えー、何がですかー?てか、松山さん、こわーい。佑くんっ!助けてっ!」

「わっ!」

「!?」
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