好きな人の弟を、利用した
あろう事か、今度はいきなり佑くんに抱き付いた。

この行動にはその場にいた人達も驚き、口をあんぐりと開けて固まっている。

「ねぇっ!助けて佑くん!」

「ち、ちょっと近藤さん!止めて下さい!」

「やーだー!」

周りが引いているのも、佑くんが嫌がっているのもお構いなしに、近藤 和架子はグリグリと体を押し付けている。

その瞬間、プツッと堪忍袋の緒が切れて、私は更に近藤 和架子を睨み付けた。

ギャラリーがいたって関係ない。

これ以上、佑くんに近付かせたくなかった。

「離れなさいよ……」

自分でも信じられない位、低くて冷たい声。
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