好きな人の弟を、利用した
「あの……」と声をかけると、佑くんの目からいきなり涙がボタボタと流れ出した。
「わわっ!」
驚いて、私は急いでハンカチを取り出し、涙を拭ってあげる。
すると、その手を震える手で掴まれ、ぎゅっと握られた。
氷の様に、冷たい手。
「……本当……です、か……?」
私は、その冷えきった手をそっと包み込む。
「……うん」
「本当に……僕の事……好き……?」
「本当に、佑くんの事が好き」
私は力強く頷く。
「……っ……夏夜さんっ!!」
「わっ!?」
倒れる勢いで抱き付かれて、足がもつれて転びそうになった。