好きな人の弟を、利用した
「でも僕、どうしても夏夜さんと別れたくなくて、どうしたら良いか考えたんです……。じゃあ、僕から逃げられない様な噂を流して、周りから固めてやれって……思ってしまって……」
それを聞いた瞬間、ハナちゃんさんが小さく『うわー……』と言ったのが聞こえた。
佑くんごめん。
私も、心の中でそう思ったよ……。
「たっくんって、結構イタイ子だったのね……」
「だから引きませんかって言ったじゃないですか……」
佑くんは目をウルウルさせ、項垂れながら椅子に座り直した。
「夏夜ちゃんは大変ね」
「……へ?」
なんとも言えない顔で佑くんを見ていたら、ハナちゃんさんに肩をポンッと叩かれ、間抜けな声が出る。
「な、なにがですか?」
「たっくん、かなり嫉妬深いわよ」
「え……」
「今の話を聞いて、アタシは確信したわ。たっくんの愛はストーカー並よ」
ヘコんでいる佑くんに追い討ちをかけ、更にヘコます。