好きな人の弟を、利用した
ある寒い朝、何か温かい飲み物を買おうと自販機にお金を入れた。

カフェオレのボタンを押しても、全然出て来ない。


『……?なんで??』


首をひねる。


『それ……こうしないと…出ないんですよ……』


後ろから突然声がして、自販機をバンッ!と叩かれた。

ビックリして振り向くと、そこには佑くんの姿。


あたしの心臓が高鳴る。


ガコンッ!と音がして、カフェオレが出て来た。


『どうぞ……』


佑くんにカフェオレを手渡され、受け取る。


『ありが、とう……』

『いえ……』


佑くんが、微笑む。

前髪で隠れていたけど、確かに笑った。

心臓が、きゅぅぅぅっ……と締め付けられる。

あたしはどうして良いか分からなくなって、それ以上喋れなくなってしまう。


『じゃあ……』


それだけ言い残して、佑くんは行ってしまった。


『あっ……』


あたしは自分の気持ちに戸惑いながら、佑くんの背中を見ていた。

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