好きな人の弟を、利用した
ある夜。


一人で帰る佑くんを見かけた。

その表情はとても疲れていて、ひどく寂しそうで……。

気が付いたら、ウザい位に佑くんに話し掛けてた。

一人でご飯を食べて帰るって言うから無理矢理付いて行った。

オカマさんがマスターのカフェバーで、ご飯も珈琲も美味しかった。

そのマスターは、佑くんとあたしの関係を気にしていたけど、佑くんが『なんでもありません』と全力で否定していた。


……泣きたくなった。


だけど泣けないから、ヤケ酒を飲んだ。

佑くんはあたしの倍ぐらい飲んでいたけど、ケロッとしていて、少し悔しかった。

別に酔わせてどうこうしようなんて思ってないけど……。

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