好きな人の弟を、利用した
それに今のあたしは、こんな事でいつまでもウジウジ悩んでいられなかった。

平穏な毎日が戻って来たのも束の間、後輩の教育係を任せられてしまったのだ。

なんで今の時期に教育……と思ったけど、これがなかなか出来ないやつで、色んな人にたらい回しにされていたらしい。

自慢じゃないけど、あたしは仕事も出来る。そこで白羽の矢が立ったのがあたしだった。


……まあ、体の良い厄介払いだろうけど。


『白河 勇斗です!22歳、独身!不束者ですが、よろしくお願いしますっ!!』


と、訳の分からない自己紹介をされ、最初は断ってやろうかと思っていたんだけど、屈託なく笑う笑顔に、断るに断れなくなってしまった。
< 332 / 334 >

この作品をシェア

pagetop