好きな人の弟を、利用した
昨日佑くんが言っていた事を思い出す。

『兄の昴と比較されて……』

そんな事ないよ。

佑くんの能力を認めてくれる人は、きっといっぱいいる。

佑くんが思っているより、もっとずっと沢山の人が。

「……松山さん?」

「え……」

部長に呼ばれてハッとする。

「仕事に戻って良いよ?」

「あ、はい。失礼します……」

頭を下げ、自分のデスクに戻る。

その足取りは、今朝とは比べ物にならない位、なぜか軽かった。

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