好きな人の弟を、利用した
度々思ってた。

『前髪短い方が良いのに』って。

別にこれは、昴と重ね合わせてるからそうして欲しいって訳じゃない。

ただ単に邪魔そうだし、目に刺さりそうで危なっかしい。

(切っちゃえば良いのに……それか、何かで……あ……)

そうだ、と思い付き、バッグを漁る。

(あったあった)

取り出したのは、黒のヘアピン。

先に蝶々の飾りが付いているけど、そんなに目立つ程の大きさじゃないから、大丈夫だろう。

それを持って、佑くんの元へと歩み寄る。
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