好きな人の弟を、利用した

デートの帰り道

「……今日、は…ありがとう……ございまし…た……」

「こちらこそ、ありがとう。楽しかった」

私達は、パレードが終わって人が押し寄せる手前で、園内を出て帰路に付いていた。

「……パレード、が…途中でしたけど……」

佑くんが、申し訳なさそうに呟く。

「大丈夫だよ。何回も見てるし、終わった後だと凄く混むしね」

「……そう、ですか……」

「うん」

てくてく、てくてく。

「…………」

「…………」

てくてく、てくてく。

「…………」

「…………」

無言で歩く私達。
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