好きな人の弟を、利用した
もう、ヘタに話を振るのはよそう。

別れ道はもうすぐだし。

そこまで我慢すれば、問題ない。

(本当の事を話すのは、またにしよう……)

先伸ばしにしても良い事なんてないのに、今のですっかり怯んでしまって、その後は何も喋らないで歩いた。

「あ……ここでさよならだね……」

別れ道に差し掛かかり、私はホッと胸を撫で下ろす。

「じゃあ、また…ね……」

佑くんに向かって手を振る。

「…………」

けど、なんの反応もない。

「……佑くん?どうしたの?具合でも悪い?」

そう言って、顔を覗き込んだ。
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