転職したら双子のイケメンがついてきた
数日後。
「すみません!!バルブ壊しました!!」
店で、玄関先の水道栓からホースを引いてシャワーヘッドで水撒きをしていた。
使うときだけバルブを取り付けて使うタイプだ。閉店後の悪用を防ぐためだった。
「また壊したのか??」
壬言さんが呆れる。
あれからまた、花の水をこぼしたり、花の冷蔵庫のドアを閉め忘れることがある。
副業が空いたときは、お店の手伝いもたまにする。花に水をあげるくらいだけど。
「あなたまた壊してるの!?ごめんなさいね??うちの子が」
「え"っ!?」
振り向いて驚く。
「お母さん!?何しに来たの!?」
美容院に行き立てらしいパーマヘアで、花柄のワンピースの母が、ふくよかな体を揺らせて立っていた。
後ろから眼鏡姿で細身の父が姿を現す。父は穏やかな性格で時計職人だった。
微笑むと、
「元気そうだな、よかった」
そして掻き消すように、
「何しにって、失礼ね!!心配で様子を見に来たんじゃないの!!あんた連絡ちっとも寄越さないから!!」
言っても実家は二つ隣の県だ。すぐ来れる距離だけど。
「いやあの、いろいろ忙しくて…」
しどろもどろになる。