転職したら双子のイケメンがついてきた
自分でも分からない。
涙が出ていた。
嬉しかった。
「なっ!?なんで泣いてるんだよ!?い、嫌なら、無理にとは…いや、言いたかねえが。……やっぱり俺じゃ嫌なのか」
頭を掻き、もどかしそうな壬言さん。
首を横に振る私。
「……私なんかで、ホントにいいの……??バカ女で、ドジで、壊し屋で、どうしようもなく不器用ですよ??」
「それでいいんですよ」
いつの間にかそこにいた、上品そうな紳士と奥さまが穏やかに微笑む。
「…両親だ」
壬言さんの前で初めて泣いたかも。
いや、大人になって初めて泣いたかも知れない。
かあっと赤くなると、私の頭をわしわしと撫で、
「……初めてだからな。俺と真言の区別、出会って二日で分かった奴。お前しかいねえんだよ、バカ女」
耳元で囁かれた。
「……真来」
あのときの夢と同じだ。
真っ白な部屋で。
でも違うのは、どこかに行ったんじゃなく、キスしてくれたことだった。
「これからも、《YOROZUYA》を頼みますよ」
真言さんも微笑んだ。