転職したら双子のイケメンがついてきた

翌日、お昼過ぎ、約束の時間。


履歴書を手に、バイトとはいえ、いい加減な格好も許せない私は、面接用のスーツ姿で花屋に向かった。


「バイト希望の人!?」


随分、突っ慳貪に言い放たれた。
昨日の彼は幻か。


夜中まで掛かってようやく書き上げた履歴書を、いともあっさりと読み終わり。


いや、掛かりすぎだろう。
ただ、失敗が尋常じゃなかった。


書いてはしくじり書いてはしくじり。足りなくなって買いに行き。行くなということかと思うほど。


私は何をしてるんだ。


「自己紹介書と職務経歴書は??」


「伺ってませんが…」


舌打ちすると、


「資格の欄があまりないですが」


「パソコンは得意です」


資格を取る気も時間もなかった。あくまで自己流だ。


けれどキーボード打ちは自信があったし、エクセルももワードもも使いこなせた。さすがにPhotoshopは無理だけど。


ふう、とため息をつく。


「後日、連絡します。いつから来られそうですか」


接客業の癖に、無愛想にも程があるでしょうが、と言いたかったが。


きっと今日は嫌な客とかいて、機嫌が悪いのだ。
と、ぐっと堪えた。


誰にでもある。そういうことは。うんうん。そんなことで文句を言える立場でもないし。



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