転職したら双子のイケメンがついてきた

私は呼ばれていなかった。
由利とはそこまで親しくはないか。


「…こんにちは、久し振り」


後からおずおずと現れたのは、霧島茉里(キリシマ マリ)だった。


彼女も同じ部活だったけれど、あまり自己主張せず、控え目で大人しい子だった。


レース地のブラウスに、薄いピンクのカーディガンを肩で羽織って前で結んだ、花柄スカートのお嬢様スタイル。


長い髪は後ろで編み込んでいる。こういう何気ない器用さはある子だった。


美人というよりは可愛らしい雰囲気だ。元から色白で、健康的でもないけれど、何となく顔色が優れない。


「なんか、よろず屋さんでお話聞いてもらえるって聞いて、茉里の気晴らしになればと思って来てみたんだけど」


「気晴らし??」


「うーん、…ここじゃちょっと、話しにくいかな」


「では、奥へどうぞ」


真言さんに微笑まれ、緊張していた茉里の表情が少し和らいだ。
さすがイケメン効果はすごい。


「配達行ってくるわ」


「あっ、行ってらっしゃい」


見送る私。


「彼氏??」


沙紀に肘でつつかれる。


「……えっと、まあ、そんなところ…」


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