転職したら双子のイケメンがついてきた

「あのっ」


そんなある日。
ついに口にした。2人で出た配達の帰り。


どうして未だに1ミリも触れようとしてくれないのか。


積もり始めた鬱憤を、思いの丈を吐き出そうと。


が、
頭をぐしゃぐしゃっと掻くと、


「……やっぱりダメだ、出ていってくれねえか」


「はい??」


予想外の言葉に、喉元まで出掛けた言葉が飛んでしまった。


「今、何と……」


「別に部屋は用意する。明日にでも出ていってくれねえか」


「……っ?!それは、私がもう要らないと…!?」


「とにかく!!出ていってくれ!!」


顔も見ずに言い放たれた。
かなり苛立っている。


そこからは無言だった。
店に着くと乱暴に車のドアを閉めた。


私は何か、とんでもないことをしでかしたのだろうか。


もう戻れないのだろうか。
意味がわからない。
何も話してくれない。


どうしよう。
どうすれば。


とにかく謝ろう。納得はいかないけれど。機嫌を損ねてしまったのは確実だ。



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