転職したら双子のイケメンがついてきた
「あら??珍しいわね??喧嘩したの??久し振りじゃない」
「お、お邪魔します…」
お母様の登場に、何となく小さくなる。
長い髪を肩の上で束ね、ロングワンピースにストールを羽織り、そこはかとなくやはり品がある。
「気を使わなくていいのよ??ここはあなたのお家でもあるんですからね」
穏やかににっこりと微笑む顔は、真言さんに似て見えた。
よくわからないまま連れてこられて、結婚の挨拶をして以来だ。
神前財閥。
真っ白なお城のような豪邸だ。
大きな門の冊扉を入ると、うちの実家一軒分くらいの手入れの行き届いた庭がある。
そしてまた、大きな扉を開いて玄関を入った中央に長い、赤い絨毯敷きの階段がある。
庶民の私には、テレビか映画でしか見たことない光景だ。
「前は確か、玖美さんとの結婚に反対して喧嘩したのよね??」
お母様が真言さんに。
「そうなんですか??」
「彼が、彼女を嫌っていたんです。今は仕事のやり取りもあって、そうでもありませんが」
玖美さんは真言さんの別れた奥さまだ。
敏腕弁護士をされている。以前お仕事で私もお世話になった。