転職したら双子のイケメンがついてきた
確かに女子の夢ではあるけれど、庶民が染み付いてしまった体では、いざ現実になると気持ちが付いていかないし、そこから仕事に行くのもどうかと思う。
夢や憧れは、叶わなくていいものもある。あるいは、たまに味わうくらいがちょうどいい。
「ところで本題です。壬言のアレルギーは母親譲りなんですよ」
「えっ…」
「元もと華道の家元の生まれで、食べ物のアレルギーはあったようなんですが、人間まで受け付けなくなったのには別の理由もあります」
余程のことがあったのだろう。
「ご両親が、それは厳しくていらっしゃって。大人しい性格だった母ですが、うっかりした鍵のかけ忘れや失敗でも見つけようものなら即、納屋に閉じ込められたそうで」