転職したら双子のイケメンがついてきた

中学生になった頃、小学生になった弟の無邪気なイタズラに悩まされ始めるけれど、両親はいずれ嫁にいく姉より、後継ぎである弟をより可愛がった。


彼女にはそう見えた。


学校の友達といっても、もとより制限され、心を許せる友人に縁がないままその年になり、作り方すらわからずにいた。


そうしてある日。
気持ちに行き場がなくなって、安心して甘えられる場所も人もいない彼女は家にも帰らず、行く当てもなく、ついに補導されてしまった。


親として、当然あったであろう心配も本人に伝わるはずもなく、頬を叩かれることもなく。


そんなふしだらな娘に育てた覚えはない、恥を晒すな、余計な世話を焼かすなと、叱責された挙げ句、寮つきの学校に転校させられた。


いっそ叩いて抱き締めてくれるだけでよかったのに。
それすら叶わず、そのまま彼女は二度と実家の敷居を跨ぐことはなかったそうだ。



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