転職したら双子のイケメンがついてきた

社会に出て働くということは、自分の能力で人様のお役に立ってお金を頂く、ということなのだから、大切に扱いなさいと。


大事だと思う友人、知人ほど、借りても貸してもいけないと、口を酸っぱくして言われた。


それで、信頼も友情も、なかったことになってしまうから。


ニュースでよくしているけれど、遊ぶお金欲しさに人を傷つけるなど、とんでもないことだ。


「……少しの間でいいから、間借り、できない??」


アイスコーヒーのグラスの氷をストローで揺らせて一口飲むと、


「……近いうちに引っ越すかもしれないけど、それまででいいなら」


「もちろん!!新しい仕事と住む部屋、見つかるまででいいんです!!」


「…仕方ないなあ、実家帰るのも遠いしね」


通えないほど遠いだけでもない。やっぱり実家に帰るのは避けたい。最終手段になる。


そしてとりあえず、弥刀さんの件を何とか済ませながら探してみて、どうしても無理そうなら帰ることも考えようと。


母親役といっても、さすがに弥刀さんのお宅に仮住まいするわけにもいかない。


柚希くんが入院しているところで、大部屋なので泊まり込むのも難しい。


そういえば、壬言さんにも不本意ながら借金があるんだよな。あれはどうしたらいいんだろう。


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